吉田慶子
パレードのあとで〜ナラ・レオンを歌う
DEPOIS DA BANDA PASSAR
(OMCA1120) 2009年

全曲プロデュース、アレンジ、演奏で参加。
 ナラ・レオンのトリビュートアルバム。ポストボッサ世代にあたるナラの音楽は、正統派ボサノヴァ的なシンプルで柔らかいたたずまいを持ちつつも、素材は古いサンバやルーツサンバ、民謡、ショーロ、逆に当時の「ニューミュージック」の担い手達の新しいナンバーなどなど、あらゆる方向に求められている。それらの音楽の豊かさが、ボサノヴァ的なシンプルさの中にキッチリまとまっている、という点が、最大の魅力であろう。
 吉田さんの魅力は、「引き算」の魅力。「攻め」の表現を排して、確信犯的に弱音のコントロールを表現の中心に置いている。
 ナラ・レオン的なブラジル音楽は、僕がブラジル音楽の中で最も大きな影響を受けた部分とほぼ重なっているし、吉田さんの弱音へのこだわりは、そのまま僕にとっての演奏上のこだわりでもある。
 このアルバムを作るにあたっては、吉田さんと、「ともかくシンプルに、余分なものを排して」と申し合わせていた。パーカッションの岡部洋一、フルートのヤマカミヒトミと一緒に作ったサウンドは、「エッセンスだけ」と言うに近い、ギリギリのものだったと思う。